今回はレジリエンスについて書いていきます。言葉の意味自体は単純で、理解しやすいものだと思いますが、では、具体的にどのようにレジリエンスをかたちつくっていくのか、その方法について行動ベースで理解されている方はひょっとすると少ないかもしれません。
このコラムでは、レジリエンスの概念を紹介しつつ、具体的な行動ベースでレジリエンスを育んでいく方法を紹介します。
1. はじめに
みなさん、レジリエンスという言葉を聞いたことありますでしょうか?
元々物理学の領域で使われていた言葉で、物質や物体に力が加えられた時、元に戻ろうとする力が働きますが、この元に戻ろうとする作用のことをレジリエンスと言っていました。
メンタルヘルスや心理学の領域では、レジリエンスのことを精神的回復力と言ったり、逆境力と言ったりすることもありますが、困難な出来事に対して、うまく適応する過程と捉えたらいいと思います。何か悲しい、辛い出来事があったり、あるいは何かに挑戦して失敗してしまったという経験をしたとしても、自身の力で乗り越えていく力をレジリエンスと言います。今回はそんなレジリエンスとレジリエンスを得るための方法をいくつかご紹介しますが、次のことに当てはまる人はぜひ続けてみていただければと思います。
・今、目標に向かって挑戦し、頑張っている人
例えば、受験や資格取得、仕事、ダイエットなどなんでもいいと思います。頑張って努力をすれば成果が出て嬉しいこともありますが、逆に成果が出なかったり、はたまた成果が出ない期間が続くこともありますよね。そして、成果が出ない期間が続けば、精神的にもしんどくなってしまって、「もういいや」と諦めようとするかもしれません。だって、頑張っても成果が出ないという、嫌な経験をなん度もしたくないですもんね。このような時、レジリエンスが今後の結果に作用することがありますので、まさに今、何かに取り組んで頑張っている方は、ぜひ参考にしてください。
次が、
・しなやかに生きていきたい人
日々生きていると、自分の思うようにいかないことって結構ありますよね。自分らしく、健やかに生きていきたいと思う人は多いと思いますが、簡単なようで実際はとても難しいですよね。こんな時、レジリエンスの考え方が役に立つので、参考にしてみてください。
それでは、ここからレジリエンスを高める方法4選として、紹介していきますね。
2. コントロールできることに意識を向ける
具体的な方法を紹介する前に、大事な前提をお伝えします。それは、レジリエンスを育むものは日々の行動であるとういことです。その行動の積み重ねの結果として出来上がるものがレジリエンスです。なので、すぐに手に入れられるものではないということを理解し、少しずつ形作っていくものであることを忘れないでください。それではここから、レジリエンスを高める方法を紹介していきます。
まず1つ目が、コントロールできることに意識を向ける。
心の健康はもちろん、レジリエンスを高める上でも「受け入れる」ことは本当に大切です。だけど、失敗したり、望んだ通りに行かなかったとき、その事実を受け入れることって結構しんどいですよね。そういうときは、コントロールできることと、コントロールできないことを分けて考えるといいかもれしません。明日の天気を私たちがコントロールできないように、私たちにはコントロールできることとできないことがありますよね。例えば、好きな人ができたとして告白しようとします。相手が「喜んで!」と返事をくれるかどうか、あなたはコントロールできないですよね。
一方で、好きな人に自分がもっと魅力的に映るよう、おしゃれをするなど自分磨きをすることは自分がするかしないかを決めることができますので、コントロールができます。残念ながら、自分磨きを頑張ったのに願いが叶わなかったとしても、それは自分がコントロールできるものではないので、頑張って努力したという事実を自分自身で認めながら、叶わなかった事実を時間をかけながらでも受け入れられるように感情を整理することが大切です、コントロールできないものに対しては、「仕方がない」と折り合いをつけ、受け入れることでレジリエンスを高めることができます。
3. 自己探究の機会をつくる
2つ目が、自己探求の機会をつくる。
日々、自分自身を振り返ることやこれからの自身のことを考える行動はレジリエンスにとっても大切です。このような行動の中で、自分がどんな時に嬉しかったり、イライラしたり、感情が動くのかといったことが改めてわかることがあるでしょう。意識できていなかった自分の欲求にも気づくこともあるかもしれません。
自己探究を進める中で誰かに話したり、カウンセリングを受けることも効果的ですが、日記をつけたり、定期的に自分のやりたいことリストを作成することや、キャリアについて考える時間を設けることも効果的です。こうしたことを続けることで、自分自身を言語化できたり、理解が深められ、結果としてレジリエンスに繋がっていきます。
また、自己探究を進めていく過程で、物事を俯瞰して捉える力も鍛えられて、視野が広がっていきます。物事を俯瞰して捉えて整理する力であるメタ認知力が上がり、論理的思考力が高まることはもちろん、ストレスコーピングの能力も高くなると言われています。
4. 積極的に行動すること
3つ目は、積極的に行動すること。
つまりは何もしないより、行動することが大事であるということです。なんらかの夢や目標があるときは、それに向かってどうすれば良いか考え、行動していくことと思います。一方で、自分にとってとても苦しい状況やつらい状況に置かれた場合でも、考え、積極的に行動していくことでレジリエンスが高められます。
例えば、勤めている会社が超ブラックで、上司も超パワハラ気質だったとします。最悪な環境ですよね。そういう時に、一人で抱え込み、苦しみに耐える日々を続けていくのではなく、状況を整理して自分が取るべき行動を考え、行動していくことが大事です。誰かに相談するという行動も大事ですし、より良い場所へ転職を考えるという行動も立派な行動です。ここでいう行動とは、考えることも含みます。こうした逆境に抗い、打ち勝とうするこの行動が、まさにレジリエンスですね
5. 人間関係を充実させる
4つ目が人間関係を充実させる。
レジリエンスは、周囲にどれだけ良好な人間関係があるか、といったことにも左右されます。自分のことを気にかけてくれて、時に話を聞いてくれたり、サポートしてくれる人たちの存在が、レジリエンスを強化していきます。家族や恋人、友人との関係を良好なものにすることはもちろん、学校や職場などでの出会いを大切に、人間関係を構築することがレジリエンスにとって大切です。なかなか出会いがないというときは、先ほどの積極的な行動につながりますが、趣味などを通じたコミュニティやサークルなどに参加してみたりする中で、出会い、関係を作っていくことで、レジリエンスに繋がっていきます。そうした場に出かけることにストレスを感じる場合は、今していることや趣味など、あるいは何か新しいことを始めて、自分からネットへ発信して、繋がるための行動を考えてみてもいいかもしれません。
いかがでしたか。すでにやっていたり、できていることもあるかもしれませんが、改めて確認してみると、簡単なようで難しいこともあったりしますね。レジリエンスを高めるために、これらのことを実践できるといいですね。
6. まとめ
それではまとめに入ります。レジリエンスを高める方法は、あげればキリがないのですが、今回は4つに厳選しました。
1つ目がコントロールできることに意識を向けること。自分がコントロールできないことばかりに意識を向けていると、自分が望まない結果やそれが続いた時に本当に苦しいです。だから、コントロールできないことは受け入れるようにつとめ、コントロールできることに意識を向けるようにしましょう。
2つ目が自己探求の機会を作ること。少しの時間でできることもあるので、ぜひ生活の中に取り入れてもらえればと思います。
3つめが積極的に行動すること。苦しい状況でも、考えて行動することそれ自体がレジリエンスにつながります。
4つ目が人間関係を充実させること。言わずもがな、これは大事ですよね。自分を支えてくれる存在がどれだけあるか改めて考え、意識して関係性を作っていくことが重要ですね。これら4つを意識していけば、自ずとレジリエンスは備わっていくことでしょう。最後に、レジリエンスという言葉のいみを知ることも大事かもしれませんが、心の健康を保つための具体的な方法を自分自身の中で持っておくことの方が圧倒的に大事です。ご自身で試行錯誤しながら、探して見つけていってください。今回、レジリエンスを高める方法をいくつか紹介しましたが、ぜひ、自身の生活の中で試してみようと思っていただけたなら、嬉しく思います。
Wiberoでは、レジリエンスをテーマに研修を実施しております。ご興味あられます際は資料等ご案内することも可能ですので、お気軽にご連絡ください。
■レジリエンス研修
https://wibero.co.jp/serveice2b/train_lineup/resilience
【参考文献】
『The Road to Resilience』.the American Psychological Association.
https://advising.unc.edu/wp-content/uploads/sites/341/2020/07/The-Road-to-Resiliency.pdf
執筆者
上田捷悟
Shogo Ueda
公認心理師
企業向け教育支援事業等に従事し、各組織の人材育成を支援。その後、合同会社Wiberoを設立。公認心理師。おしるこが好物。
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